このサイトを訪問してくださった方は、オーガニックコスメに興味を持っていらっしゃる方が多いと思うのですが、同時に「オーガニックコスメっていったい何?」と思っている方も多いと思います。
特にはじめてオーガニックコスメ、オーガニック化粧品のことを調べ始めた方にとっては、何が何やら分かりにくい世界なので、まずはオーガニックコスメとは何かという説明を簡単に書いてみますね。
目次
オーガニックコスメの(非公式)基準
結論から言うと、オーガニックコスメというのは以下のような基準を満たしている化粧品のことです。
- 石油由来成分排除
- 動物性成分は生きた動物から採取したものに限る
- 原料の70~90%近くがオーガニック栽培・無農薬栽培の原料
しかし、上記の基準は統一的な基準として世界的に受け入れられているわけではなく、また、日本にも統一的な基準があるわけではありません。
そのため、日本では各ブランド・メーカーが独自に自社基準でオーガニックコスメという名称で製品を販売しているのが現状です。
無添加化粧品とオーガニックコスメの違い
無添加化粧品とは、それ自体も曖昧な基準ですが、概ね、厚生労働省が定めた102の旧表示指定成分を配合していない化粧品であると定義できます。
>>>参考:102の旧表示指定成分
市販されている化粧品は以下のように分類することができます。
1. ケミカルコスメ(化学化粧品)
1.1 医薬部外品
1.2 一般化粧品
1.3 無添加化粧品
2. オーガニックコスメ(オーガニック化粧品)
無添加化粧品は、基本的にはケミカルコスメの一分類ということになります。
自然派化粧品、ナチュラルコスメとオーガニックコスメの違い
また、自然派化粧品やナチュラルコスメという言葉も聞いたことがあるかもしれません。
これらの言葉の定義はあいまいで、実際には1%でも自然由来成分が入っていれば自然派、ナチュラルコスメと呼べるのが現状です。自然派化粧品、ナチュラルコスメを謳っているブランドであっても、全成分をチェックし、企業に問い合わせてみなければその実態は分かりません。
日本オーガニックコスメ協会によるオーガニックコスメの定義
実は、オーガニックコスメという言葉は和製英語で、日本オーガニックコスメ協会(JOCA)が作った定義となります。日本オーガニックコスメ協会が掲げているオーガニックコスメの基準は以下の通りです。
参考にした書籍はこちらです:
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日本オーガニックコスメ協会のスキンケアの基準
1.植物、クレイ、鉱石など天然成分のみを使用しているコスメ。動物性成分については生きた動物からの抽出物のみ。
→ 石油あるいは石油からの合成成分を使用したものは除く。化粧品に使われる合成成分とは、合成界面活性剤、合成防腐剤、合成色素(タール系色素)、合成香料、合成溶剤など。
→ 植物原料から化学的に合成された合成成分を使用しているもの、たとえば、プロパンジオール、植物原料からのBG、植物由来の合成界面活性剤などはのぞく。
2.植物原料の一部を抽出しているものは、基本的に以下の2つの条件を満たしているものを使っているコスメ。
(1)抽出する際に、合成成分や合成溶剤を使用していないこと。
(2)抽出したものの保存方法として合成防腐剤(パラベンなど)を使用していないこと。
日本オーガニックコスメ協会のメイクアップの基準
石油および石油原料の成分を使用していないコスメ。
→現代の技術水準では、ファンデーションなど乳化が必要な製品を作るのは難しいので、入荷のために使う界面活性剤に関しては、植物由来の界面活性剤であればOK。
世界のオーガニックコスメの基準
上記の日本オーガニックコスメ協会の基準は世界的な基準から見てもかなり厳格です。
世界にはさまざまなオーガニック認証団体があり、有名なところでは以下のような基準があります。
- エコサート
- ネイトゥルー
- BDIH
- demeter
- Eco Control
>>>より詳しい一覧はこちら
海外のオーガニック認証の落とし穴
これらの認証がついたコスメであれば一定の安心感はありますが、実はそれぞれの基準ごとに落とし穴というか抜け道があり、実際には、日本では旧指定成分として肌トラブルを起こすおそれがあると認定されている石油由来成分、ケミカル成分が配合されていることがあります。
代表的には以下の2例があります。
・BDIH:安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、ベンジルアルコールなどは使用可。この場合「保存料として○○○○を使用」と明記すること。
・エコサート:安息香酸、蟻酸、プロピオン酸、サリチル酸、ソルビン酸、ベンジル酸。加工原料は0.5%までのパラベンならびにフェノキシエタノールで保存可。
このように、海外のオーガニックコスメ認証を取得したコスメの中には、日本では最近は通常の化粧品でもできるかぎり配合を避けるようになったパラベンや安息香酸までが認められています。
>>>出典:スキンケア大学林田七恵 「オーガニックコスメのマニアックな選び方」
これら海外認証のオーガニックコスメで特によく使われているのが、パラベン、安息香酸、フェノキシエタノールですので、まずはこの3つの成分が含有されていないかをチェックするといいでしょう。
日本のオーガニックコスメの基準
日本ではオーガニックコスメの基準がありません。厳密には、日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会認定(JONA)基準というものがあり、そこで石けんやコスメのオーガニックコスメ認定が行われていますが、まだ開始したばかりで認証を取得した製品は少ないのが現状です。
日本特有のオーガニックコスメ選びで気を付けたいこと
動物性成分をどう考えるか?
オーガニックコスメはヨーロッパ発祥の概念であるため、認証基準はヨーロッパの文化や独自性を反映しています。そのため、たとえば生きた動物からの動物由来成分以外の成分の使用は認められていないのですが、日本では古来から馬油(ばーゆ)等がスキンケアとして使用されてきたということもあり、オーガニックコスメのメーカーと言われているブランドでも馬油を使ったスキンケアが多くあります。そのため、こういった成分が含まれているとオーガニックとは言えないのか? という疑問もあります。
認証を取得していなくても基準を満たしているブランドが多数
また、日本のオーガニックコスメブランドが海外認証を取得するということは多大なコストがかかることであり、また、成分を簡単に変更できないことから、中身としてはオーガニックコスメの基準を十分満たしており実際の化粧品の製造はエコサート認証を取得した工場などで行っているものの、基準を取得していないというブランドが多いのが現状です。
◎認証は取っていないけれども冒頭の基準を満たしている日本製・国産オーガニック化粧品ブランド
海外認証を取得している日本製オーガニックコスメブランド
そんな中でも、企業努力でエコサート認証を取得している日本製・国産オーガニックコスメメーカーもあります。
コスメの全成分表記だけではわからないこともある
現在、化粧品は基本的には全成分表示が義務付けられていますので、理論上は消費者としても何が使われているかを判別することができます。そのため、以前よりもケミカル成分、オーガニック成分の区別がしやすくなっています。
化粧品に使われている成分の毒性などを解説した辞典が出版されているので、辞典を片手にコスメをチェックするということもできるようになりました。
参考書籍:
しかし、オーガニックコスメの世界であっても技術は日々進歩しています。一昔前では石油由来成分からしか作れなかった成分が、植物からも合成できるようになりました。たとえば、BGなどは植物由来の成分も多数出回っています。
ところが、これらの成分は、コスメの全成分表記上は、石油由来であれ植物由来であれ、同じ名称として表記されてしまいます。
これらのコスメの全成分表記だけを見て、機械的に石油由来成分が使われている!と判断することはできません。
日本オーガニックコスメ協会が作成した下記の成分辞典でも、同じ名称の成分でも植物由来・動物由来両方の可能性があるということが書かれています。
>>>JOCA 成分辞典
ですので、最終的には、実際に製品を作ったメーカー側に問い合わせなければ分からないのが現状であり、企業側の倫理・誠実さに大いに依存します。
>>>参考記事:その化粧品の合成成分は植物由来?石油由来?
オーガニックコスメを選ぶための大切なポイント
一番最初に定義した、1.石油由来成分を排除したもの 2.生きた動物から採取されたもの以外の動物成分を排除したもの 3.70~90%以上オーガニック成分を使用したもの という基準を満たしているオーガニックコスメを選ぶためには、ある程度の成分に関する知識が重要になります。
成分の知識がそれほどないという方は、まずはオーガニックの認証を取得したコスメを選択されるといいでしょう。
その上で、認証コスメの中にも使われている毒性の高い合成成分である「パラベン、安息香酸、フェノキシエタノール」を避ければ、概ねケミカル成分フリーのコスメが選べます。
日本製オーガニックコスメに関しては、上記のブランドを参考に選んでみてください。
植物由来・石油由来ともに同じ表記になる合成成分を使用しているコスメについては、各ブランド・メーカーに直接問い合わせることで判断する必要があります。
この記事を読まれた日本製・国産のオーガニックコスメの業者様へ
もしこちらの記事を読んで、「うちは認証を取っていないけれどオーガニック品質のコスメを作っている」という業者様(メーカー様)がいらっしゃいましたら、是非問い合わせのページからご連絡ください。このページに追加していきたいと思います。